超軌道分裂による新奇巨大界面応答 文部科学省 科学研究費補助金 学術変革領域研究(B)

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<プレスリリース>磁場をかけるだけで電気抵抗が25,000%も変化する 「巨大磁気抵抗スイッチ効果」を実現

A01班大矢グループとA03班福島グループは、東京大学および海洋研究開発機構と共同で、FeとMgOの2層構造からなる電極をもつホウ素を添加した半導体Geの20ナノメートルのチャネル長を有する二端子デバイスにおいて、磁場で制御可能な抵抗スイッチ効果を初めて観測しました。これにより、抵抗変化率が25,000%におよぶ大きな抵抗変化を磁場で実現しました。本現象の起源については未解明な点もありますが、次のシナリオが有力だと考えられています。MgOのMg欠損にはスピンの向きが揃った2つの正孔が存在します。電界の印加により隣接するMg欠損の正孔の波動関数がつながって強磁性の導電性フィラメントが形成され抵抗が低い状態となります。ここに磁場をかけると正孔の波動関数が収縮し導電性フィラメントが切れて抵抗が劇的に高くなります。本成果は、スピンを利用した抵抗ランダムアクセスメモリやニューロモルフィックコンピューティングデバイスなどの実現につながるものと期待されます。本研究は、Wileyの学術誌「Advanced Materials」に掲載されました。東京大学よりプレスリリースされました。

<論文>
S. Ohya, S. Tsuruoka, M. Kaneda, H. Shinya, T. Fukushima, T. Takeda, Y. Tadano, T. Endo, L. D. Anh, A. Masago, H. Katayama-Yoshida, and M. Tanaka, Colossal magnetoresistive switching (CMRS) induced by d0 ferromagnetism of MgO in a semiconductor nanochannel device with ferromagnetic Fe/MgO electrodes”, Adv. Mater. 36, 2307389 (2024).

<論文URL>
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/adma.202307389

<プレスリリース>
磁場をかけるだけで電気抵抗が25,000%も変化する 「巨大磁気抵抗スイッチ効果」を実現 ―機能性デバイス実現に向けて新たな原理を開発―