<論文発表>人工超格子により強誘電秩序が短距離化
A02班佐藤グループは神戸大学と共同で、人工超格子薄膜を形成することでPb(Zr,Ti)O3において典型的な強誘電的な長距離秩序がナノスケール化されることを見出し、報告いたしました。
今回、佐藤グループは各層の厚さが4 nmのPb(Zr0.65Ti0.35)O3とPb(Zr0.30Ti0.70)O3からなる人工超格子膜について、原子分解能走査透過型電子顕微鏡(STEM)観察を行い、格子定数と分極構造を直接測定しました。その結果、2層の面内方向格子定数は相互拘束のため一致していること、ならびに長距離の強誘電的秩序が存在していないことが明らかとなりました。
第一原理計算の結果から、面内の結晶格子の相互拘束が基で分極方向の競合が起こり、長距離の強誘電的秩序がみだされたものと考えられています。
<論文> Yukio Sato, Goki Kimura, Sang Hyo Kweon, Goon Tan & Isaku Kanno, Disruption of polar order in lead zirconate titanate by composition-modulated artificial superlattice, J. Mater. Sci. 59, 8134-8146 (2024).
<論文URL> https://link.springer.com/article/10.1007/s10853-024-09686-2