超軌道分裂による新奇巨大界面応答 文部科学省 科学研究費補助金 学術変革領域研究(B)

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大矢グループの 東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の博士3年生 髙田(金田)真悟君が第14回(令和5(2023)年度)日本学術振興会 育志賞を受賞しました

<第14回(令和5年度) 日本学術振興会 育志賞 について>
日本学術振興会 育志賞は、上皇陛下の天皇御即位20年に当たり、社会的に厳しい経済環境の中で、勉学や研究に励んでいる若手研究者を支援・奨励するための事業の資として、平成21年に上皇陛下から御下賜金を賜りました。
このような陛下のお気持ちを受けて、将来、我が国の学術研究の発展に寄与することが期待される優秀な大学院博士後期課程学生を顕彰することで、その勉学及び研究意欲を高め、若手研究者の養成を図ることを目的に平成22年度に創設したものです。
対象者は、人文学、社会科学及び自然科学の全分野において、大学院における学業成績が優秀であり、豊かな人間性を備え、意欲的かつ主体的に勉学及び研究活動に取り組んでいる大学院博士後期課程学生としています。
(https://www.jsps.go.jp/j-ikushi-prize/kettei.htmlより引用)

<受賞内容>
題目:スピントロニクスデバイスに向けた酸化物界面における高効率スピン流-電流変換の研究
今日の情報技術社会における情報量の急激な増大により、情報処理デバイスやメモリの消費電力は増加の一途を辿っており大きな問題となっています。そこで、電子のスピン(電子の磁石としての性質)を活用するスピントロニクスの研究が盛んに行われています。一般にスピントロニクスデバイスは、強磁性体(磁石)の磁化の向き(NSの向き)を用いて情報の”0”と”1”を記録するため、電源を消しても情報が保持され、消費電力を大幅に低減できるものと期待されています。最近は、電子のスピンの流れであるスピン流と、電子の電荷の流れである電流の相互変換現象に着目したデバイスが考案されています。この「スピン流-電流相互変換」の効率が高いほど、より低い電力でのデバイス動作が可能となると考えられています。本研究では、ペロブスカイト酸化物LaTiO3+δ/SrTiO3界面に形成される二次元電子ガスを用いて、従来様々な材料系で報告されてきた中でも最も高効率のスピン流-電流相互変換を実現することに成功しました。さらに理論計算により高いスピン流-電流相互変換効率を得るための材料設計指針を示しました。また、超低消費電力メモリの実現に向けた強磁性体および新規物理現象の探索を行い、デバイスの実現に向けた新たな指針を示すことができました。